本の紹介
つぶやき
庚申庵について(こうしんあん)
今日は庚申庵に行ってきました。
庚申庵は栗田樗堂(くりたちょどう)の草庵の事です。
近世伊予第一の俳人・栗田樗堂が、寛政12年(一八〇〇)、五二歳の時に、残りの人生を風流三昧に暮らそうとして建てた庵で、戦災を免れて昭和24年9月17日、県指定文化財・記念物(史跡)の指定を受け、平成12年から同15年にかけて保存修理され、今日に至っています。 「庚申庵」という名の由来は、この庵を建てた寛政12年が干支でいうと庚申(かのえさる)であったことと、古庚申と呼ぶ青面金剛の祠が、近くにあったのに因んだそうです。
樗堂(ちょどう)には三つの顔があります。一つは家業の酒造業、もう一つは町役の大年寄という公務。その間に俳諧を楽しみました。
文化2年(一八〇五)に彼が書いた「庚申庵記」は、子規記念博物館に保管されています。大きな藤の花の吹く藤棚を庭前にした四畳半、三畳、二畳、二間の小庵の前の池は、保存修理工事により復元され、「我あとは誰か汀にながむらむ 月をかたみの宿の池みづ」の面影を偲ぶことができます。
牡丹も咲いています。沈丁花も・・・。
このように、古い庵のたたずまいが都市の片隅に今も存在することは、奇跡とも言えるでしょう。
桜が終わり、沈丁花の香りと藤棚が風雅さを醸しています。
栗田樗堂については「伊予俳諧史」(景浦 勉 著)伊予史談会 1200円
に載っています。104ページ~131ページ
右上が栗田樗堂の句です。